「もうすぐ決算だけど、思った以上に利益がでているなぁ。よし!税金で持っていかれるぐらいなら何か買ってしまおう!」
なんてのはよくある話ですが、本当にそれ、必要ですか?
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決算直前にモノを買って経費になるのか?
決算直前にモノを買っても、それが全部経費になるとは限りません。
決算月に4年落ちの300万円の中古車を買ったとしても、その期または年の経費になるのは25万円です。
どうせ使うものだからと切手とか印紙を購入しても、使っていないものは経費になりません(貯蔵品という棚卸資産、つまり在庫になります)。
実際に決算前の節税策としてモノを買う場合、有効なのは次の方法です。
- 10万円未満のもの(いわゆる消耗品費になるもの)
- 青色申告者である中小企業者等(資本金1億円以下で従業員1,000人以下の法人や従業員1,000人以下の個人事業主)が取得した30万円未満の少額減価償却資産(年間300万円が限度)
これらのモノは、期末までに購入して使用すれば、購入価額の全額が経費になります。
ただし、モノを買うわけですから、当然キャッシュも出ていきます。
税金を減らすためにはいくらのモノを買う必要があるのか?
「このまま行くと100万円の納税が発生してしまう。100万円も納税したくないからモノを買ってしまおう」と思った場合、いくらのモノを買う必要があるのでしょうか?
所得(もうけ)によって変わってきますが、仮に税率を30%としておきましょう。
100万円の税金を減らすためには、【100万円÷30%=333万円】の利益を減らす必要があります。
つまり、333万円のモノを買う必要があるということです。
そのまま税金を払えば、100万円のお金がなくなるだけで済むのですが、モノを買った場合は333万円のお金がなくなります。
もちろん333万円相当のモノは手元に残りますが、それがそれだけの価値があるかどうかですね。
そのモノを買うためにはいくらの売上を上げる必要があるのか?
100万円の税金を減らすためには333万円のモノを買って、333万円の利益を減らす必要があることがわかりました。
では333万円の利益を獲得するためには、いくらの売上高が必要でしょうか?
業種や事業内容によっても変わってきますが、経常利益率(経常利益÷売上高)が5%の場合だと、【333万円÷5%=6,660万円】の売上高をあげないと333万円の利益を生み出せないのです。
そのモノが、6,660万円以上の売上高を稼いでくれますか?
まとめ
モノを買う節税がすべて悪いわけではありません。
事業にとって必要なものなら、それが売上高を、利益を生み出してくれますから、買っても問題ありません。むしろ買うべきです。
ただ、事業に関係のないもの(この時点ですでに経費にはなりませんが)や事業に関係があるけども買わなくてもよいものを買おうと思われているのなら、そのモノを買うためにいくらの売上高や利益が犠牲になるかを計算してみましょう。
買うのはそれからでも遅くありません。